切り重ねた紙が生む 光と影の立体世界
シャドーボックスアーティスト
● 大橋 禾苗
精緻に切り抜いた絵柄を何層も重ねることで立体感を出し、新たな命を吹き込むシャドーボックス。この「光と影の芸術」を日本に紹介し広めた第一人者。作品は海外、特にヨーロッパ各国で高い評価を得ている。
本展では、会場「百段階段」からインスピレーションを受けた「源氏物語」を初公開します。
「最後の審判」(2003年)H940 × W870 × D105mm
バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれたミケランジェロの代表作「最後の審判」。400人以上の人物を切り抜いては白い切り口を消し、表情や立体感を出しながら貼り重ねている。制作に6ヵ月の時間と情熱を注いだ大作。
Art Academy Japan「審査員奨励賞」、カルーゼル・ドゥ・ルーブル「グランプリ」、「トリコロール芸術平和賞」受賞作品。
「天地創造」(2004年)H610 × W1300 × D95mm
「天地創造」も、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた天井画。大橋はこの作品で、Hart Art in Nagoya「審査員最優秀賞」、英国国際美術博「レディング市長賞」、佃堅輔「芸術大賞」を受賞している。
「京都南座」切り絵人 杉本好夫画(2012 年)H530 × W680 × D90mm
朱色と薄墨色に惹かれて制作したが雪をのせることに違和感を覚え、途中で封印。数ヶ月後、18代目中村勘三郎氏の死去を知り「今作らなければ」と制作を再開。まねきに勘三郎がなかったので画家に依頼し、中央に配したら、不自然だった雪が違和感なくおさまったという。不思議な感覚で完成させた作品。
「源氏物語」(2017年)H390 × W470 × D100mm