そのお客様は7月の“海の日”が近づくと、
少しだけおめかしをしてやってくる。
この場所で家族になった
パパとママに連れられた、
小さなレディのお客様。
彼女のパパとママは、
結婚記念日の“海の日”を
とても大切にしている。
毎年必ずこの場所を訪れ、
披露パーティーをした“花苑”という
会場をじっと眺めている、
何か言葉を交わしたりもせず、
からっぽの会場をふたりで一緒に、
ただ見つめ続ける。
彼女が生まれる前も、彼女がもっと
小さかった赤ちゃんの時も。
毎年必ず家族が始まったこの場所で、
この大切な儀式を欠かさない。
その間、彼女もパパとママの
じゃまをしたりなんかしない。
小さくたってちゃんと
レディの振る舞いができるのだ。
だって、その時間が家族にとって
大切なことを知っているから。
いつも優しいパパとママが、
もっともっと幸せそうな顔をしているから。
また来年、
向日葵の花が咲く頃にここにおいで。
今年よりも少し大人のレディになって。